さて問題です。
またきたぁ~
副腎髄質は何胚葉由来でしょう?
はっ、この辺はまだちゃんと覚えていなかったな。
でもたしか代ゼミのテキストにあったなあ…
あっ、これだ、これだ。
はれ? 副腎髄質なんて書いてない・・・
そのとおり。高校の教科書やほとんどの参考書には「副腎髄質は何胚葉由来か」なんて書いていない。しかし、だからといって・・・
だからといって「習ってないからできません」というのはダメ・・・
そう、ダメ。
この問題は実際に入試で出題されているんだ。
だから、「教科書に書いていないからできません」
というのは通用しない。
さて、ではどうしたらいいだろう?
こういう問題は知識を駆使して考えるんだ。
か、考えると言われても・・・
それじゃヒント。副腎髄質から分泌されるものは何?
ええっと・・・あっ、アドレナリンでしたね。
そう、そのとおり。血糖濃度を上昇させるホルモンだったね。
では、アドレナリンとそっくりな物質といえば?
えっ? アドレナリンとそっくりな物質なんて
習ってない・・・
あっ、そういう発想はダメなんだった。ええっと、
アドレナリンと似ている物質、似ている物質・・・
じゃ、第2ヒント。アセチルコリンと
セットで暗記するやつは?
あっ、ノルアドレナリンです。そういえば、
アドレナリンとノルアドレナリンって「ノル」の
有無だけですね。
そう。両者は構造がとっても似ている物質で、作用にもそっくりな部分が多い。ただし、アドレナリンはホルモンで、ノルアドレナリンは神経伝達物質だけどね。
で、これが「副腎髄質が何胚葉由来か」とどういう関係が?
では第3ヒント。ノルアドレナリンはどこから出てくる?
あ、これならわかります。交感神経です。
そうそう。もっとも交感神経だけじゃなく、いろいろな
神経細胞(=ニューロン)がが分泌するけどね。
では、神経は何胚葉由来?
これもわかります。外胚葉由来です。
そうだね。
で、ということは?
へ? ということはと言われても・・・
では第4ヒント。ノルアドレナリンを
分泌する神経細胞は外胚葉由来。
ではノルアドレナリンとそっくりな
物質であるアドレナリンを分泌する副腎髄質は
何胚葉由来?
あっ、そうか。似たような物質を分泌するんだから、
同じ胚葉由来ということか!
つまり、副腎髄質は外胚葉由来!!
正解!!
さっすが自分~、なっぴ~冴えてる~♪
まあ、第4ヒントまで出したけどね。
ちなみに副腎皮質は何胚葉由来でしょう?
え、まだあるの?
そうだな、これはちょっと難しいね。
副腎皮質から出るホルモンには何がある?
あっ、糖質コルチコイドとそれから鉱質コルチコイド!
そうそう。で、〇〇コルチコイドは何ホルモン?
へ? 何ホルモンと言われても・・・
成分を聞いているんだよ。ホルモンには「タンパク質」、
「アミン」そして・・・
あっ、ステロイド!
そのとおり。ということは・・・
あっ、そうか、似たような物質を分泌するものは同じ胚葉由来でしたね。ということは、ステロイド系ホルモンを分泌するのは・・・
そんなものありましたっけ?
そう、だから難しいと言ったんだ。ステロイド系ホルモンを分泌するのは精巣と卵巣だ。精巣からはアンドロゲンとテストステロン、卵巣からはエストロゲンとプロゲステロン。これらはみんなステロイド系ホルモンだ。
そうか、では精巣と卵巣が何胚葉由来かがわかればいいんですね。
そう。でも、そこまでは知らないよね。
実は腎臓と精巣・卵巣といった生殖器の
発生上の起源は共通なんだ。
で、腎臓の起源はなんだっけ?
腎臓は中胚葉由来ですね。
そのとおり。
ということは?
なるほど! 腎臓と起源が共通なんだから、精巣や卵巣も中胚葉由来ですね。
すばらしい。そのとおりだ。
そして・・・
精巣と卵巣は中胚葉由来で、そしてステロイドホルモンを分泌する。
ということは、
同じくステロイドホルモンを分泌する副腎皮質も中胚葉由来ですね。
そのとおり。正解にたどり着いたね。
なんでも暗記で済ませようとせず、既に持っている知識を駆使して新しい知識を作り出す、それを
ひらめき力という!!
あっ、おれが言おうとしたのに~。
というわけで「生物の勉強法 第7話 「ひらめき力を鍛えよう(その2)」でした。大堀の参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えてください!(上下巻)」(学研)には、この「ひらめき力」の体得法が他にも書いてあります。旧課程用ですが、新課程でも十分に使えます。そして代ゼミの夏期講習「大堀の正しく理解する生物」では、やはりこの「ひらめき力」をバンバン鍛えていきます。受講するぞ~という学生さんたち、楽しみにしていてくださいね♪