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生物の勉強法 第9話 「ひらめき力を鍛えよう(その4)」

さて・・・

・・・

なぜ逃げる?

だって問題出すんでしょう?

そのとおり。共通テストが終わって3週間だ。もうとっくに「共テ」頭が「二次・私大」頭に切り替わっていなければならない時期だ。ちょっとそれを確かめようと思ってね。

そりゃあもちろん切り替わっていますよ。

ならば問題です。
チロキシンとアドレナリンはアミン系のホルモンですが、受容体が細胞膜にあるのはどちらでしょうか?
こんな問題、切り替わっているんだからすぐ解けてしまうな。

なんかこの「生物の勉強法」シリーズ、
ホルモンの問題が多くないですか?

うっ・・・きっと気のせいだよ。
さあ、答えは?

知識問題ですね。
で、「習ってないからわからない」
はダメで…

そう。「習ってないからわからない」はダメ。
では、ヒント。細胞膜のリン脂質二重層を通ることができる物質、できない物質というのがあったのよね。

で、リン脂質二重層を通れるホルモン、通れないホルモンの受容体はそれぞれどこにあるはず? 

あっ、それは知っています。リン脂質二重層を通ることができるホルモンの受容体は細胞質基質、または核内にありますよね。そして、通れないホルモンの受容体は細胞膜にあるんですよね。

そのとおり。ということは?

そうか、チロキシンとアドレナリンのどっちかはリン脂質二重層を通れないから、その受容体が細胞膜にある…というわけですね。

で、その話は第3話でやったね。

ああっ、これですね。ええっと、水溶性のホルモンはリン脂質二重層を通れない。脂溶性のホルモンは通れる。
ということは、細胞膜に受容体があるのはアドレナリン♪

大正解!!
知識どうしをうまくつないで正解を導き出すことができたね。
ところで、もう1つ、こういうひらめき方もあるぞ。

ノルアドレナリンとアドレナリンは非常に似ている物質だ。
だからこれらの性質・作用はとても似ている…ということを
第7話で話したね。

覚えてますよ。ノルアドレナリンは神経伝達物質、アドレナリンはホルモンですよね。

神経伝達物質は軸索の末端から放出されて、隣の神経細胞に興奮を伝える。で、神経伝達物質の受容体はどこにあった?

樹状突起ですよね。

樹状突起のどこ? 樹状突起というのは細胞の一部分だよね。
つまり受容体は細胞のどこにある?

あっ、神経伝達物質の受容体は細胞膜にありましたね。

そう。
図中の❼❽「伝達物質依存性イオンチャネル」がそうだね。

そうか!!
神経伝達物質の受容体は細胞膜にある。
すると、当然ノルアドレナリンの受容体も細胞膜にあることになる。
で、アドレナリンはノルアドレナリンと似た物質なのだから、
アドレナリンの受容体も細胞膜にあるはず!!

すばらしい。うまく知識をつなげられたね。

さて、これは逆に次のようにも使える。
つまり、アミン系のホルモンであるチロキシンとアドレナリンのどちらが水溶性かを忘れてしまったとき…
ノルアドレナリンの受容体は細胞膜にある→だからアドレナリンの受容体も細胞膜にあるはず→細胞膜に受容体があるのだから、脂溶性ではない→水溶性だ!!
…という具合だ。

ほ~、なるほど。そういう使い方もあるんですね。

なんでも暗記で済ませようとせず、既に持っている知識を駆使して新しい知識を作り出す、それを…

ひらめき力という!!

ちなみに次回、第10話では「ノルアドレナリンとアドレナリンの違い」を説明するぞ。

 というわけで「生物の勉強法 第9話 「ひらめき力を鍛えよう(その4)」でした。大堀の参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えてください!(上下巻)」(学研)には、この「ひらめき力」の体得法が他にも書いてあります。旧課程用ですが、新課程でも十分に使えます。そして代ゼミの1・2学期の講座「ハイレベル生物」では、やはりこの「ひらめき力」をバンバン鍛えていきます。2025年度、代ゼミで受講するぞ~という学生さんたち、楽しみにしていてくださいね

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代々木ゼミナール生物講師。

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