第4話に引き続き、また血球からの問題。
☆解答はこのコラムの一番下にあります。
今度は直径とか個数・寿命以外の知識も必要ですね~。
そうなんだ。次の表を見てみよう。
第4話の表に、さらに「形」「核」「はたらく場所」が加わっていますね・・・、やっぱりこれらも覚える?
そうなんだけど、ただ無理やり覚えるのではなく、「どうしてそうなのか」を知れば覚えやすくなるし、暗記量を減らせるんだ。
減らせる? それはいいですね~
まずは赤血球から。赤血球は次のように誕生してくる。
最初は核があるんですねぇ。
そう。そして核がなくなるのでぺしゃんとつぶれて円盤状になる。
だから「核がない」という知識と「円盤状」はセットで暗期だ。
ところで毛細血管の太さはどのくらいか知っているかな?
えっ? 毛細血管? 細いんでしょうねえ。
あっ、でも血球が通るんだから血球の直径よりは太いんでしょう?
実はそうでもないんだ。赤血球の直径は、第4話で話したけれど、7μmだったね。一方、毛細血管の直径はというと5~20μmだ。まあおしなべて7μmくらいのものが多い。
ん? ということは毛細血管の方が細い場合もある?
そう。そういう場合、赤血球は変形して1個ずつ毛細血管を通過することになる。
わりと強引に通過するんですねえ・・・
だねえ。さて、このとき赤血球には核がないから・・・
なるほど。核がないから細く変形しやすい!
その通り! 赤血球には核がないので普段は円盤状。また、核がないので変形しやすく、自分の直径より細い血管も通り抜けやすい。こんなふうに「どうして?」がわかると楽しいよね。楽しいと暗記したことが定着しやすくなる。
ですね~♪
さて、次は白血球だ。白血球には核がある。そして形は不定形で血管内だけでなく血管外でもはたらく。
えっ? 血管の外?
そう。血管の外。体内に侵入した病原体は基本的には血管外に存在する。だから白血球は、アメーバ状に運動してにゅる~っと血管壁の隙間をくぐり抜けて血管の外に出てくるんだ。
あっ、そうか。アメーバ状だから「不定形」なんでね。
その通り。
ちなみに「血管外ではたらく」は、参考書や教科書では「組織中ではたらく」と書いてあることが多いね。
あの~、ところで第4話のときも思ったんですけど、白血球の寿命は暗記しなくていいんですか? 赤血球は100日・血小板は10日って暗記しましたけど。
そう、暗記しなくていいんだ。というのは入試に出ないからだ。では、なぜでないのかというと・・・ここで質問です。
わっ、またいきなり~
白血球とはなんでしょう?
へ? 白血球って何かって・・・白い血球とか・・・?
白くはないよ。無色半透明だ。
では、次の図を見てみよう。
赤血球と血小板には種類がないけれど、白血球っていろいろありますね。
そうそう、それ。「血球のうち、赤血球でも血小板でもないもの」の寄せ集めを白血球というんだよ。だから種類もいろいろで、30近くもある。
あっ、もしかしていろいろあるから寿命もいろいろ!?
するどい! その通りだ。いろいろなのでその寿命も問われないわけだ。
ちなみにもっとも寿命が短い白血球は好中球で、約1日。もっとも長いのは記憶細胞となったB細胞やT細胞で、その長さは年単位となる。
なるほど~。白血球はアメーバ運動をするから「不定形」。アメーバ運動で「血管の外」に出て行ってそこでもはたらく。白血球はいろいろいるから寿命もいろいろ。
さて、次は血小板だ。血小板は、実は巨核球という細胞の断片なんだ。
そうか、断片だから「核がない」。
そう。そして断片だから「小さい」し「不定形」だ。
おお~、これなら暗記しやすい♪
こんなふうに、「どうして?」や「なぜ?」は、つまり生命現象の「正しい理解」は暗記を助けてくれるし、これらによって暗記量を減らすことができるんだ。
というわけで「生物の勉強法 第5話 「理解してから暗記する」でした。大堀の参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えてください!(上下巻)」(学研)には、この「生命現象の正しい理解」がふんだんに書いてあります。旧課程用ですが、新課程でも十分に使えます。そして代ゼミの大堀の講義では、やはりこの「正しい理解」をバンバン教えていきます。受講するぞ~という学生さんたち、楽しみにしていてくださいね♪
☆解答 ①
☆②について…血小板は血液凝固に作用します。血管壁が破けて血管の外に出ていけば、そこで凝固にはたらきます。また、血管内の内皮がはがれてもはたらきます。つまり血管内でもはたらくのです。